
夜桜といえば、時々思い出すのが明石城の公園。大学時代、クラブの先輩といっしょに車に乗って見に行った。暗闇に浮かぶ桜はとても美しく、息を飲むほどだった。夜桜を見たのはあれが初めてだった気がする。桜の名所はあれからあちこち行ったけれども、あの日の夜桜は今でも時々思い出す。
人付き合いの悪かった私は、あのころ、なんだか本当にようやく、「人間になれた」という安心感を得つつあった時だった。あの頃の大学の先輩はずっとその後も付き合いがあったが、数年前、一人はお子さんを残してガンで亡くなった。人はそれぞれの人生のステージに入るので、いつまでも一緒ではいられない。

楽しい時はどういうわけなのか、いつも、永遠には続かない。いつの間にか僕らの人生は、次のステージに切り替わっている。だからこそ、瞬間を残していく写真は愛おしいのだと思う。僕らの記憶は、僕らの人生そのものだから。
